大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(行ケ)94号 判決

事実及び理由

一  請求の原因事実中、本願考案について、出願から審決の成立に至るまでの特許庁における手続の経緯、考案の要旨及び審決の理由に関する事実は、当事者間に争いがない。

二  そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について考察する。

合成樹脂成形品に金属薄膜層を形成させるという技術が、本願考案の出願前、引用例二に開示されていたことは、原告の認めるところである。そして、本願考案の合成樹脂製雨樋が、合成樹脂成形品の一種であることは、いうまでもないことであるのみならず、成立に争いのない甲第二号証(本願考案の実用新案公報)によれば、本願考案の出願前、合成樹脂製雨樋が使用され、施工が容易である反面、太陽熱による熱変形を起しやすく、また、太陽光線の紫外線によつて合成樹脂が劣化して光沢がなくなり、強度が低下しやすいという欠点があつたこと、その欠点が、すでに当業者の間に十分認識されていたことが認められ、また、成立に争いのない甲第三号証(引用例一の特許公報)によれば、本願考案の出願前、合成樹脂管の外側に金属管を、各任意の太さと厚さをもつて、密着させ、好適かつ堅牢な液体送管を製造する技術が公知であつたこと、さらに、成立に争いのない甲第四号証(引用例二の特許公報)によれば、引用例二の表面処理技術は、複雑な形や大型の非金属物品の表面、しかも、その所要部分にのみ金属被膜を被着させうるものであることが認められる。

これらの点を総合すると、引用例二開示の表面処理技術を従来存した合成樹脂製雨樋に適用して本願考案のような構成の雨樋とすることが、合成樹脂の性質に基づく長所を保持するとともに、従来の右雨樋のもつ欠点を補う金属薄膜層の性質を併有することは、当業者にとつて自明のことであつたといわざるをえない。

そして、本願考案について、原告が主張する金属薄膜層を形成することによる作用効果は、右表面処理加工を施した合成樹脂製雨樋に、当然かつ容易に予想されうるものであるから、審決が本願考案を引用例一および引用例二の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案することができたものと判断したのは、正当であつて、審決に原告主張のような違法はないということができる。

三  よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

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